人財活用04-使命をデザインする

■部門使命の提案

部や課の使命について考えよう。読者が組織人なら確認してほしい。所属する部門に《使命》があるだろうか。「業務分掌」ならあると思うが、ここで言うのは「○○の事務に関すること」といったヌルい記述のことではない。

組織全体の使命に直結して、それを細分化(ブレイクダウン)し、価値観まで伝わってくる言葉のことだ。もし、ないのなら作ってみることを勧める。言わなくてもわかると言っていないで。部門使命の明文化は、日々の活動の方向が明瞭になるし、次の「個人の使命」への橋渡しにもなる。

使命を考えていくと、それはひとつではないことがわかってくるだろう。「日常実務のため」と「将来のため」、構成員の精神的なよりどころまでもカバーする。

★使命設定の例:(映像製作会社を想定)
会社の使命:「良質な映像作品を供給し続けること」
部門の使命:(同社の法務部門を想定)
(1)「良質な知的財産のトレーディング・保護・育成を中核とした戦略的法務の遂行」
(2)「同上をベースにした法務関連イノベーション」

育成や部門連携、取引先・グループ会社連携などは当たり前であり、どの部門も共通だから省いている。

イノベーション条項は必須ではないが、将来を見据えた使命設定になじみやすい。イノベーションは天才のひらめきを待つものではない。実現性は低いが影響の大きい結果を求めて組織的にアプローチするものだ。また日常業務に組み込むものでもある。

■それでは個人の使命とは

個人の使命は、ひとつ決めて終わりというものではない。本人の能力の向上、構成員の出入りなどによっても変わってくる。いつも見直しが必要だ。

いまは《分担》ではなく《使命》の話をしているので、当人の意識への配慮も要する。管理側の都合によって無定見に変えるのはよくない。設定も変更も、本人意思を尊重したデリケートな配慮が必要だ。

人財活用の連載趣旨に照らしてみると、適切な使命配賦は《能力》があって《意欲》も持てる分野ということになる。さらには能力と意欲を涵養できるようにすること。そのためには、要求スキルをすこし高めに設定することだ。(次回で触れる。)

★一個人の使命の例:(法務担当)
(1)「米国著作権法のエキスパートとしての戦略的調達・契約業務の遂行」
(2)「同上をベースにした法務関連イノベーション」

使命は制約ではない。単なる《責任》でもない。たとえ間接部門でも、本業に直接寄与するイノベーションをもたらす余地がある。そのために上の条項(2)があるのだ。組織員の仕事はルーティンをこなすことではなく、工夫することだから。

■提案のまとめ

・《部門の使命》がないなら作る。
・それは組織の使命に直結するものである。
・《個人への使命配賦》を見なおしてみる。ないなら作る。
・易しすぎず、到達可能な難易度を設定する。
・使命には日常業務だけではない、将来展望も組み込む。

(あもうりんぺい)