PCをにらんで真剣に考えている女性

人財活用01-三つのしょうがない

人を仕事にかりたてるエンジンはなんだろう。筆者は《三つのしょうがない》を提唱している。

・やらなきゃ、しょうがない《使命》
・やりたくて、しょうがない《意欲》
・できるから、しょうがない《能力》

それはなんなのか。

【1】やらなきゃ、しょうがない《使命》

この中には「やらないと困ること」《必要・義務》も含む。その延長上に、人によっては以下のような方針をしっかり立てている者もいる。
・言われたからやる(言われないとやらない)
・怒られないようにやる(怒られないとやらない)
・お尻に火がついたらやる(つかないとやらない)

だがそれは置いておこう。(いやこの《やらない3兄弟》も、とても大切なので別稿で扱う。)

この「やらなきゃ、しょうがない」には、《必要・義務》よりもずっと大切な要素を含んでいる。見出しに掲げた《使命》だ。

・やらなきゃ、世の中どうなる(社会的使命)
・やらなきゃ、組織はどうなる(組織的使命)

・成長のためには、やらなきゃ(成長の使命)
・リスクを断つためには、やらなきゃ(防御の使命)

使命はすべての出発点になる。だからこそ大事なのは、考え抜いて組織の使命を設定すること。それを上手に切り分けて構成員に配ることだ。

【2】やりたくて、しょうがない《意欲》

いくら必要なことでも、意欲が伴わないと、続けていくことは難しい。

最初はだれでも意欲的だ。だが困ったことに、放っておくと意欲は減り続ける。その原因は加齢、安住、刺激の不足、理不尽など。(人活05で扱う。)

人はだれも「仕事でしたいこと」を自分の中に持っている(みつけられずにいる者もある)。そして目の前に仕事があるときは、そちらに自分のやる気を振り向ける方法も持っている。

こういう荒っぽい議論を聞いたことがあるだろう。
「仕事はなあ、やりたいことをやるんじゃないんだ。やらなけりゃいけないことをやるんだよ」
やらなきゃいけないことの優先度が高いのはそのとおりだ。だがそんな単純な話ではないことは、いままでの議論でわかってもらえると思う。

個人としても組織としても、意欲をどうコントロールするかが課題だ。意欲の設計、意欲のふくらませ。これはほかの《しょうがない》にくらべても奥が深い。やりたい思いを、めいっぱい溜めることがリーダーの能力だ。

【3】できるから、しょうがない《能力》

能力が伴っていないと、いくら必要なことでも、いくらやりたいことでも、できないのは当然だ。できないから、しょうがない。

これがいったん「できる」となると、まわりが放っておかない。自分も放っておかない。下のような「しょうがない状況」になる。

・自分でなけりゃ、しょうがない(能力可能)
・いまでなけりゃ、しょうがない(適時対応、状況可能)

仕事にかりたてる力としては、上の「自分でなけりゃ」のほうが大きい。以下はそれに沿って語る。

使命に適した能力のある者がいれば、組織(上司)の側はそれを起用して、メリハリのある担当設定をしやすくなる。

能力の裏付けがあると、自信も意欲も湧いてくる。自分が能力的に組織のオンリーワンであった場合はよけいに、能力の発揮自体が使命感にもつながる。

「自分でなけりゃ」の状況を作りあげることの大事さは言うまでもない。

力強く進んでいく仕事では、《三つしょうがない》が互いを高めあい、抜き差しならないほどからみあっていく(次回、仕事の三角スパイラル)。そうなると、外から邪魔しようとしてもしょうがないほど、仕事に弾みがついてくる。

どうころんでも、仕事というのは「しょうがない」から、やるのである。

(あもうりんぺい)

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